その代り、中国征伐のついでに九州も平らげてしまふから、九州の年貢の上りを一年分だけ褒美に頂戴致したい、之を腰にぶらさげて朝鮮と明を退治してきます、と言つて、信長を笑はせた。
秀吉の出放題の壮語にも常に主人の気持をそらさぬ用意が秘められてをり、信長の意中を知る秀吉は巧みに之を利用して信長の哄笑を誘つたのだが、やがてそれが秀吉自身の心になつてしまふのだつた。
秀吉は九州征伐の計画中には同時に朝鮮遠征の計画をも合せ含めて、対馬の領主宗義調に徴状を発し、如水や安国寺恵瓊に向つて、九州の次は朝鮮、その朝鮮を案内に立てゝ大明征伐が俺のスゴロクの上りだからお前達も用意しておけ、と言つて痩せた肩を怒らせてゐたといふ。