十数万の精鋭であるから、今、太閤を怒らせると、朝鮮はてもなく足下に蹂躙されるのが運命である。
かくなる以上は遠征の道案内に立つ方が身の為だ、と言つて、彼らも死物狂ひ、なかば脅迫の言辞を弄して迫つたけれども、朝鮮の態度は傲慢で、下賤の猿面郎が大明遠征などゝは蜂が亀の甲を刺すやうなものだ、といふ頭から軽蔑しきつた文書によつて返答してきた始末であつた。
宗義智はこの数年間屡次にわたつて朝鮮側と屈辱的な折衝を重ね、太閤の意志とうらはらな返翰を得て、之を中途で握りつぶしてゐたのであるから、露顕の恐怖に血迷つた。