幸いに下宿の主人が自分の人格を信じたからいいようなものの、疑ぐろうとすればどこまでも疑ぐられ得る場合なのだから、主人の態度いかんに依っては警察ぐらいへ行かなければならなかったのかも知れない。
と、こう考えると、彼の空中に編み上げる勝手な浪漫が急に温味を失って、醜くい想像からでき上った雲の峰同様に、意味もなく崩れてしまった。
けれどもその奥に口髭をだらしなく垂らした二重瞼の瘠ぎすの森本の顔だけは粘り強く残っていた。
幸いに下宿の主人が自分の人格を信じたからいいようなものの、疑ぐろうとすればどこまでも疑ぐられ得る場合なのだから、主人の態度いかんに依っては警察ぐらいへ行かなければならなかったのかも知れない。
と、こう考えると、彼の空中に編み上げる勝手な浪漫が急に温味を失って、醜くい想像からでき上った雲の峰同様に、意味もなく崩れてしまった。
けれどもその奥に口髭をだらしなく垂らした二重瞼の瘠ぎすの森本の顔だけは粘り強く残っていた。