彼は二十の若者の如き情熱亢奮をもつて我が時は来れりと乗りだしたが、彼の心に崖はなく、絶対の孤独をみつめてイノチを賭ける詩人の魂はなかつた。
彼はたゞ時代に稀な達見と分別により、家康の天下を見ぬいてゐた。
家康が負けないことも、そして自分が死なないことも知りぬいてゐた。
彼は二十の若者の如き情熱亢奮をもつて我が時は来れりと乗りだしたが、彼の心に崖はなく、絶対の孤独をみつめてイノチを賭ける詩人の魂はなかつた。
彼はたゞ時代に稀な達見と分別により、家康の天下を見ぬいてゐた。
家康が負けないことも、そして自分が死なないことも知りぬいてゐた。