この殺しかたにもいろいろとあって、はじめは斬首であったが嬉々として首をさしのべ、ハリツケにかければゼススさまとおなじ死にかただと勇みたつ始末だから、火あぶりにした。
苦しめて殺してやれというので、すぐ火に焼けて死なゝいように一間ぐらいはなして薪をつんで火をつけ、着物に火がつくと消してやって長く苦しめるというやりかただが、苦しむのが一時間から数時間、死にいたるまで朗々と祈祷をとなえるもの、観衆に説教するもの、子をだく母は子供だけは苦しめまいとかばいながら、我慢をおし、今にゼススさま、マリヤさまのみもとへゆけるのだからとわが児に叫ぶ。
その荘厳には、観衆にまぎれて見物の信徒はますます信教の心をかため、縁のない観衆も死刑執行の役人どもまで、感動してかえって信仰にはいるものが絶えないという始末であった。