丸い瓦斯に田口と書いた門の中を覗いて見ると、思ったより奥深そうな構であった。
けれども実際は砂利を敷いた路が往来から筋違に玄関を隠しているのと、正面を遮ぎる植込がこんもり黒ずんで立っているのとで、幾分か厳めしい景気を夜陰に添えたまでで、門内に這入ったところでは見付ほど手広な住居でもなかった。
玄関には西洋擬いの硝子戸が二枚閉ててあったが、頼むといっても、電鈴を押しても、取次がなかなか出て来ないので、敬太郎はやむを得ずしばらくその傍に立って内の様子を窺がっていた。
丸い瓦斯に田口と書いた門の中を覗いて見ると、思ったより奥深そうな構であった。
けれども実際は砂利を敷いた路が往来から筋違に玄関を隠しているのと、正面を遮ぎる植込がこんもり黒ずんで立っているのとで、幾分か厳めしい景気を夜陰に添えたまでで、門内に這入ったところでは見付ほど手広な住居でもなかった。
玄関には西洋擬いの硝子戸が二枚閉ててあったが、頼むといっても、電鈴を押しても、取次がなかなか出て来ないので、敬太郎はやむを得ずしばらくその傍に立って内の様子を窺がっていた。