小川町の角で、斜に須永の家へ曲る横町を見た時、彼ははっと例の後姿の事を思い出して、急に日蔭から日向へ想像を移した。
今日も美くしい須永の従妹のいる所へ訪問に出かけるのだと自分で自分に教える方が、億劫な手数をかけて、好い顔もしない爺さんに、衣食の途を授けて下さいと泣つきに行くのだと意識するよりも、敬太郎に取っては遥かに麗かであったからである。
彼は須永の従妹と田口の爺さんを自分勝手に親子ときめておきながらどこまでも二人を引き離して考えていた。
小川町の角で、斜に須永の家へ曲る横町を見た時、彼ははっと例の後姿の事を思い出して、急に日蔭から日向へ想像を移した。
今日も美くしい須永の従妹のいる所へ訪問に出かけるのだと自分で自分に教える方が、億劫な手数をかけて、好い顔もしない爺さんに、衣食の途を授けて下さいと泣つきに行くのだと意識するよりも、敬太郎に取っては遥かに麗かであったからである。
彼は須永の従妹と田口の爺さんを自分勝手に親子ときめておきながらどこまでも二人を引き離して考えていた。