力めて真面目な用談についての打合せなどを大事らしくし続けて、やっと同じ食卓で晩餐の膳に向った時、突然思い出したように袂の中からそれを取り出してAに与えた。
Aは表に至急親展とあるので、ちょっと箸を下に置くと、すぐ封を開いたが、少し読み下すと同時に包んである写真を抜いて裏を見るや否や、急に丸めるように懐へ入れてしまった。
何か急の用でもできたのかと聞くと、いや何というばかりで、不得要領にまた箸を取ったが、どことなくそわそわした様子で、まだ段落のつかない用談をそのままに、少し失礼する腹が痛いからと云って自分の部屋に帰った。