婆さんはしばらく手を膝の上に載せて、何事も云わずに古い銭の面をじっと注意していたが、やがて考えの中心点が明快纏まったという様子をして、「あなたは今迷っていらっしゃる」と云い切ったなり敬太郎の顔を見た。
敬太郎はわざと何も答えなかった。
「進もうかよそうかと思って迷っていらっしゃるが、これは御損ですよ。
婆さんはしばらく手を膝の上に載せて、何事も云わずに古い銭の面をじっと注意していたが、やがて考えの中心点が明快纏まったという様子をして、「あなたは今迷っていらっしゃる」と云い切ったなり敬太郎の顔を見た。
敬太郎はわざと何も答えなかった。
「進もうかよそうかと思って迷っていらっしゃるが、これは御損ですよ。