というような観察が行われていた。
ところが並木先生は世間の噂にはおかまいなく、さて、犯人は誰であるか、長男の光一が一番怪しいが、玄斎も狂六もタダモノではないから、どういう奇怪な行動をやるにしてもフシギはない。
こう考えて先生は万人を疑ったが、しかも奇妙なことに、彼は医者でありながら、何者が「いかなる薬品をいかに用いて殺したか」ということを考えずに、何者が「いかなる心理によってこの犯罪を犯したか」という心理探究の方にもっぱら熱をあげていたのである。
というような観察が行われていた。
ところが並木先生は世間の噂にはおかまいなく、さて、犯人は誰であるか、長男の光一が一番怪しいが、玄斎も狂六もタダモノではないから、どういう奇怪な行動をやるにしてもフシギはない。
こう考えて先生は万人を疑ったが、しかも奇妙なことに、彼は医者でありながら、何者が「いかなる薬品をいかに用いて殺したか」ということを考えずに、何者が「いかなる心理によってこの犯罪を犯したか」という心理探究の方にもっぱら熱をあげていたのである。