けれどもその人が寿命の度盛の上において、自分とは遥か隔たった向うにいる事だけはたしかなので、彼はこの男を躊躇なく四十恰好と認めた。
これだけの特点を前後なくほとんど同時に胸に入れ得た時、彼は自分が先刻から馬鹿を尽してつけ覘った本人がやっと今電車を降りたのだと断定しない訳に行かなかった。
彼は例刻の五時がとうの昔しに過ぎたのに、妙な酔興を起して、やはり同じ所にぶらついていた自分を仕合せだと思った。
けれどもその人が寿命の度盛の上において、自分とは遥か隔たった向うにいる事だけはたしかなので、彼はこの男を躊躇なく四十恰好と認めた。
これだけの特点を前後なくほとんど同時に胸に入れ得た時、彼は自分が先刻から馬鹿を尽してつけ覘った本人がやっと今電車を降りたのだと断定しない訳に行かなかった。
彼は例刻の五時がとうの昔しに過ぎたのに、妙な酔興を起して、やはり同じ所にぶらついていた自分を仕合せだと思った。