下には客を通す部屋がなくって、二階と三階だけで用を弁じているが、よほど込み合わなければ三階へは案内しない、大抵は二階で済むのだから、上って右の奥か、左の横にある広間を覗けば、大抵二人の席が見えるに違ない、もしそこにいなかったら表の方の細長い室まで開けてやろうぐらいの考で、階段を上りかけると、白服の給仕が彼を案内すべく上り口に立っているのに気がついた。
三十二
敬太郎は手に持った洋杖をそのままに段々を上り切ったので、給仕は彼の席を定める前に、まずその洋杖を受取った。
下には客を通す部屋がなくって、二階と三階だけで用を弁じているが、よほど込み合わなければ三階へは案内しない、大抵は二階で済むのだから、上って右の奥か、左の横にある広間を覗けば、大抵二人の席が見えるに違ない、もしそこにいなかったら表の方の細長い室まで開けてやろうぐらいの考で、階段を上りかけると、白服の給仕が彼を案内すべく上り口に立っているのに気がついた。
三十二
敬太郎は手に持った洋杖をそのままに段々を上り切ったので、給仕は彼の席を定める前に、まずその洋杖を受取った。