敬太郎は室の中にいる男女を憚かるように、抜き足で後戻りをして、静かにそれを取り出した。
彼が蛇の頭を握った時、すべすべした羽二重の裏と、柔かい外套の裏が、優しく手の甲に触れるのを彼は感じた。
彼はまた爪先で歩かないばかりに気をつけて階段の上まで来ると、そこから急に調子を変えて、とん、とん、とんと刻み足に下へ駆け下りた。
敬太郎は室の中にいる男女を憚かるように、抜き足で後戻りをして、静かにそれを取り出した。
彼が蛇の頭を握った時、すべすべした羽二重の裏と、柔かい外套の裏が、優しく手の甲に触れるのを彼は感じた。
彼はまた爪先で歩かないばかりに気をつけて階段の上まで来ると、そこから急に調子を変えて、とん、とん、とんと刻み足に下へ駆け下りた。