私の叔父(父の弟)、芹沢東洋は、日本画家として相当の盛名を博したこともある男である。
このところ数年間は執拗な神経衰弱に祟られて全く絵筆を執らないが、神経衰弱の原因は御多分に洩れぬ情事問題を別として、絵画そのものに対しての本質的な疑惑、不安におちこんだことが、原因に非ず或ひは結果であるにしても、とにかく懊悩の一つの根幹をなしてゐる。
懊悩の根柢をなすものの第三が私――然しこのことは改めて語り直さう。
私の叔父(父の弟)、芹沢東洋は、日本画家として相当の盛名を博したこともある男である。
このところ数年間は執拗な神経衰弱に祟られて全く絵筆を執らないが、神経衰弱の原因は御多分に洩れぬ情事問題を別として、絵画そのものに対しての本質的な疑惑、不安におちこんだことが、原因に非ず或ひは結果であるにしても、とにかく懊悩の一つの根幹をなしてゐる。
懊悩の根柢をなすものの第三が私――然しこのことは改めて語り直さう。