牝牛のやうに精力的で、悦楽のためにしか生きることを知らうとしない女の本能の迫力の前に、傷められ竦められた半生の姿をまざまざとかへりみながら、焦燥や怒りや悲しみを始めて痛切に感じたのだつた。
女に愛された数々の記憶はあつても、心底から女を愛した覚えのない寂寥なぞも、いはば贅沢な感傷であるが、胸を流れた。
それと同時に、又同様に、数々の絵を描き残しはしたが、ここに我ありと絶叫して悔ひない底の作品を嘗て物した覚えのない寂寥が、恰も女と表裏の関係をなすが如くに感傷の底につきまとひ、その焦燥や怒り寂寥悲しさを鋭いものにさせてゐた。