坂口安吾 『狼園』 私を迎へたその切なげな無表情が、物音けたたましい停車場全体を寒いものに思はせたほどだ。 誇りを棄て、忍従と謙譲に身をまかした女の姿。 それは私に、苦痛でもなく、悲しさでもなく、憂鬱でもない、全く名状の及ばない虚しい一つの感情を与へたやうに思はれた。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア