当時父は事業の重なる手違ひから半分は悲愴を気取る自棄を起して呑みまはり、白昼は町外れの山林に隠れて睡るやうに考へこんでゐたといふが、夜毎に旗亭へ現れて痴酔のあげく、せせらぎの水音高い河原へ降りて前後不覚に砂利の上へ倒れてしまふのだといふ、梟のやうな生き方をして今更ながら町民の笑ひの種になつてゐた。
妹のそんな消息があつた頃で、他人事とは思へぬ不快な想念が私の頭をかきあらした。
私は肉親に就て物語ることがまことに不快だ。
当時父は事業の重なる手違ひから半分は悲愴を気取る自棄を起して呑みまはり、白昼は町外れの山林に隠れて睡るやうに考へこんでゐたといふが、夜毎に旗亭へ現れて痴酔のあげく、せせらぎの水音高い河原へ降りて前後不覚に砂利の上へ倒れてしまふのだといふ、梟のやうな生き方をして今更ながら町民の笑ひの種になつてゐた。
妹のそんな消息があつた頃で、他人事とは思へぬ不快な想念が私の頭をかきあらした。
私は肉親に就て物語ることがまことに不快だ。