その頃は恐らく全町の機屋でも屈指の盛運にあつたのだらう。
中学を卒へてから私は遊学のため上京叔父のもとへころがりこんだが、已にそのころ満身創痍の態にあつた傷心の叔父に懇望され、夏は山、冬は南海へといふ式にまことに道行のやうな愚劣な旅をつづけねばならず、帰省する折がなかつた。
ひと春妹の縁談がおこり帰省すると、家に三台の機がのこされてゐるばかりであつた。
その頃は恐らく全町の機屋でも屈指の盛運にあつたのだらう。
中学を卒へてから私は遊学のため上京叔父のもとへころがりこんだが、已にそのころ満身創痍の態にあつた傷心の叔父に懇望され、夏は山、冬は南海へといふ式にまことに道行のやうな愚劣な旅をつづけねばならず、帰省する折がなかつた。
ひと春妹の縁談がおこり帰省すると、家に三台の機がのこされてゐるばかりであつた。