約十数分の後神経病少女はその母親にともなはれて私達の面前に現れたが、この会見は僅々数分をもつて有耶無耶の終末を告げ、私達の最も期待した二九太の実験はつひにその実現をみなかつたばかりか、少女の予覚的恋愛の興味津々たる的中の一幕もなく、夢想だにせぬ陰鬱な結果を生みだすこととなつたのである。
私達の面前へ現れた少女はその訝しげな視線によつて先づ我々を交互に焼けつくやうに凝視め続けた。
その眼は次第に大胆不敵な光りを加へ、その視線が私の顔に向けられた時には、恰も眼光が次第に膠着するもののやうな執拗な厚みを感じたほどであつた。