伊東伴作は鸚鵡返しに怪訝さうな面持をして呟いた。
伊東伴作はダンスホールに縁遠い人柄で、酔つ払ひでもしなかつたら冗談口一つ言へないやうな男だつた、さうして然ういふ多彩にして溌剌たる世界には多分に没交渉な生活を営んでゐるが、それを充分知つてゐる筈の雨宮紅庵が、臆する気配も見せず斯ういふことを切りだしたので吃驚した。
「いや、たつてといふわけぢやないんだ」と、紅庵は再び表面だけもぢ/\とためらふ気振をみせたが、
伊東伴作は鸚鵡返しに怪訝さうな面持をして呟いた。
伊東伴作はダンスホールに縁遠い人柄で、酔つ払ひでもしなかつたら冗談口一つ言へないやうな男だつた、さうして然ういふ多彩にして溌剌たる世界には多分に没交渉な生活を営んでゐるが、それを充分知つてゐる筈の雨宮紅庵が、臆する気配も見せず斯ういふことを切りだしたので吃驚した。
「いや、たつてといふわけぢやないんだ」と、紅庵は再び表面だけもぢ/\とためらふ気振をみせたが、