いはばあの男は理智と本能の渾沌たる矛盾撞着の中に棲みくたくたに疲れきつてゐるやうなもので、たよるべき一つの信念とか真実を探りあてることができないのです。
彼はまた文学に生きようといふ狂気にちかい情熱すらもつてゐますが、何を書くべきかといふ疑ひのために、さめる筈のないその情熱をさめたやうに感じることしかできないほど絶望もしてゐるのです。
つまり彼は、僕とて同じことですが、まづ何よりも生きる意味が分らぬといふ状態なんです。
いはばあの男は理智と本能の渾沌たる矛盾撞着の中に棲みくたくたに疲れきつてゐるやうなもので、たよるべき一つの信念とか真実を探りあてることができないのです。
彼はまた文学に生きようといふ狂気にちかい情熱すらもつてゐますが、何を書くべきかといふ疑ひのために、さめる筈のないその情熱をさめたやうに感じることしかできないほど絶望もしてゐるのです。
つまり彼は、僕とて同じことですが、まづ何よりも生きる意味が分らぬといふ状態なんです。