それはたしかに滑稽だつた。
然しタツノが手当り次第の本やインクを投げつけるのを、まるで白痴か不死身のやうに敢て怒りもしなければ身をよけもせず、当るものは勝手に当らせ、痛む傷は勝手に痛ませ、かうして黙つて立つてゐるのがとりわけ不快なことでもなく莫迦々々しいとも思はない自分の奇妙な暢気さに安川はふと気付くのだつた。
俺はタツノの奴隷になるのが別に不快でないらしいと彼は思つた。
それはたしかに滑稽だつた。
然しタツノが手当り次第の本やインクを投げつけるのを、まるで白痴か不死身のやうに敢て怒りもしなければ身をよけもせず、当るものは勝手に当らせ、痛む傷は勝手に痛ませ、かうして黙つて立つてゐるのがとりわけ不快なことでもなく莫迦々々しいとも思はない自分の奇妙な暢気さに安川はふと気付くのだつた。
俺はタツノの奴隷になるのが別に不快でないらしいと彼は思つた。