彼には伝統も不要であつた。
彼の文学の興味は非常に筋書的な線的な興味で、性格描写なぞにはてんで情熱がわかなかつたのであらう。
従而彼の小説の人物は固定された性格を全く与へられてはゐないわけだが、事件から事件へ転々と動かされて行くうちに、いはゆる性格なぞといふケチな概念とかけはなれ、実に歴々と特殊な相貌を明らかにする。
彼には伝統も不要であつた。
彼の文学の興味は非常に筋書的な線的な興味で、性格描写なぞにはてんで情熱がわかなかつたのであらう。
従而彼の小説の人物は固定された性格を全く与へられてはゐないわけだが、事件から事件へ転々と動かされて行くうちに、いはゆる性格なぞといふケチな概念とかけはなれ、実に歴々と特殊な相貌を明らかにする。