意志にも感情にもそして自我の深奥にまで知性の省察が行きとゞいてゐないのである。
特に作家においては、画家のデッサンにおける如く、論理の訓練が必要であるのに、近頃は一種反動的な傾向として、非論理によつて論理を圧倒しやうとする努力が横行し、通用しがちである。
我々の理知的努力と訓練により、また人間性の深部に誠実な省察を行ふことにより、早晩我々の世界からかゝる動物的な非論理性を抹殺し、肉体的な論理によつて正当な論理を瞞着し圧倒することの内容の空虚を正確に認識しなければ、人間の真実の知的発展は行はれ得ない。