人生に対するところの角度がすでに作家の最も根強い思想を語つており、又前述の場合に就て言へば、掴みだした人生の角度は相似であつても個々の対象に向けられる作家の興味、問題として取りあげそれに食ひこむ作家の興味、それによつて作家の思想は根底的に明白となる。
たとひフロオベエルが二月革命に対してどういふ批判をフレデリックに語らせ、又登場人物の幾人かにどういふ感慨を洩らさせてゐるにしても、そこに語られた生の思想は必らずしも生きたものではないのである。
フロオベエルの影であり不消化な滓にすぎない時すらある。