尤も彼等にしてみれば、一婦人の心を射ることは万人の心を射ることに通じ、万人に読まれたいといふ小説も一婦人に読まれたいといふために書かれたものかも知れないから、彼等の恋文が差し向ひの裸の恥を綺麗にごまかし万人向きの儀礼の中で恋を語つてゐるにしても不思議はない。
然し私の恋文はさういふ立派なものではなかつた。
私は友達と喧嘩をして、むかつ腹を立てながらひどく長い手紙を書いた覚えが七八回ある。
尤も彼等にしてみれば、一婦人の心を射ることは万人の心を射ることに通じ、万人に読まれたいといふ小説も一婦人に読まれたいといふために書かれたものかも知れないから、彼等の恋文が差し向ひの裸の恥を綺麗にごまかし万人向きの儀礼の中で恋を語つてゐるにしても不思議はない。
然し私の恋文はさういふ立派なものではなかつた。
私は友達と喧嘩をして、むかつ腹を立てながらひどく長い手紙を書いた覚えが七八回ある。