私の恋文はまたこの果し状と同じでんで、あるときはキザなこと話にならず、また或時は熱に浮かされて何がなんだかてんで分らず、また或時は深謀遠慮を逞うして恋の手管をつくして居り、思ひ出してもはづかしくて顔が赧らむ状態だから、メリメとはだいぶん違ふ。
私は遺言状の第一条に書かうと思つてゐるのである。
「死後書簡の出版を絶対に禁ず」これは私の「はづかしさ」からだと思つてはいけない。
私の恋文はまたこの果し状と同じでんで、あるときはキザなこと話にならず、また或時は熱に浮かされて何がなんだかてんで分らず、また或時は深謀遠慮を逞うして恋の手管をつくして居り、思ひ出してもはづかしくて顔が赧らむ状態だから、メリメとはだいぶん違ふ。
私は遺言状の第一条に書かうと思つてゐるのである。
「死後書簡の出版を絶対に禁ず」これは私の「はづかしさ」からだと思つてはいけない。