私は時折葛巻義敏の病床を訪れたりしてゐるうちに、芥川龍之介に面識はなかつたものの、かなりに彼を肉体的に知るやうになつてゐました。
又アルバムの類ひなぞを見たせいか、彼の数種の表情も知り、結局彼がわが国の文人中では、江戸の戯作者を除いたなら、もつとも豊かな動きをもつた表情の所有者ではあるまいかと思つたのです。
明治以降のわが文壇では、面のやうに動きのない表情の所有者が目立つやうです。
私は時折葛巻義敏の病床を訪れたりしてゐるうちに、芥川龍之介に面識はなかつたものの、かなりに彼を肉体的に知るやうになつてゐました。
又アルバムの類ひなぞを見たせいか、彼の数種の表情も知り、結局彼がわが国の文人中では、江戸の戯作者を除いたなら、もつとも豊かな動きをもつた表情の所有者ではあるまいかと思つたのです。
明治以降のわが文壇では、面のやうに動きのない表情の所有者が目立つやうです。