彼は多くの名門旧家に出入りして、その各々に奴隷のやうな忠実さで仕へることを喜んだ。
やがて数万の富を築き、一方出入りの旧家達はいはゆる地主の没落時世で、財力がむしろ逆な事情になつても、他巳吉のもつて生れた幇間根性に変りはなく、彼は自らへりくだつて、落魄の気位高い人々と下僕のやうに話し込むことを厭はなかつた。
「俺はな……」と他巳吉は公言した。
彼は多くの名門旧家に出入りして、その各々に奴隷のやうな忠実さで仕へることを喜んだ。
やがて数万の富を築き、一方出入りの旧家達はいはゆる地主の没落時世で、財力がむしろ逆な事情になつても、他巳吉のもつて生れた幇間根性に変りはなく、彼は自らへりくだつて、落魄の気位高い人々と下僕のやうに話し込むことを厭はなかつた。
「俺はな……」と他巳吉は公言した。