階段の途中で、夢中のうちに引返すと、すでに汽車が動きかけてゐたので、咄嗟に手近かな箱の中へ乗りこんだのだ。
暫く知らない人々のあひだに、ぼんやり彳んでゐる自分すら、他人のやうな思ひがしてゐた。
掌に、消えた煙草と切符とを、一緒くたに握りしめてゐることすら、長いあひだ気付かなかつた。
階段の途中で、夢中のうちに引返すと、すでに汽車が動きかけてゐたので、咄嗟に手近かな箱の中へ乗りこんだのだ。
暫く知らない人々のあひだに、ぼんやり彳んでゐる自分すら、他人のやうな思ひがしてゐた。
掌に、消えた煙草と切符とを、一緒くたに握りしめてゐることすら、長いあひだ気付かなかつた。