その代り魚肉の片身に箸をつけて、裏側を食べることを知らないやうな、てんで食慾と脈絡のない肉感の稀薄な贅沢は骨身に沁みてゐるやうだ。
箱庭の中に住む別世界の人のやうな感じもした。
そしてただ心の冷めたさのみが、この世の最も激しい力で、卓一の胸を刺してゐた。
その代り魚肉の片身に箸をつけて、裏側を食べることを知らないやうな、てんで食慾と脈絡のない肉感の稀薄な贅沢は骨身に沁みてゐるやうだ。
箱庭の中に住む別世界の人のやうな感じもした。
そしてただ心の冷めたさのみが、この世の最も激しい力で、卓一の胸を刺してゐた。