どういふところが気になるのか見てゐる僕に分らないのですが、再三再四くりかえしても満足できないばかりか、益々気にさはる一方と見え、たうとう指で紙を押へてみたり、折目の間へ指を入れて上から入念に押しつぶすやうにしてみたり、急に荒々しく元へもどして折目をごし/\こすつたり、見てゐるうちに呼吸がだんだん荒くなつてくるのです。
それで漸う前日のことに気がついたのですが、さういへば、湯の浜へくる汽車の中で新聞を読んだときも、やつぱり折目の折り方を気にして、これほどではなかつたのですが、何度もやりなほしてゐたことを思ひだしたのです。
その日の夕方になつて、夕刊を読む時になつても、折目の折り方を気にすることは、やつぱり同じことなのです。