新聞以外のことではそれほどのこともないので、暫くぶら/\してゐるうちに自然に落付くのだらうと、わりと楽観はしてゐたのですが、新聞を読むときばかりは、見てゐる僕がやせるほどやりきれなくなるのです。
それで、宿の者に頼んで、喜楽の読む新聞紙ははじめから鋏で二つにちよん切つておいてもらつたのです。
この計画が図に当つて楽に新聞が読めるやうになつたのですが、まもなく東京へ帰つた喜楽から手紙がきて、新聞紙を二つにちよん切る手段を教へてもらつたので、神経衰弱が快癒しかけてゐる、だから旅にはでるものだと書いてあつたのです。