だから僕はあの時の父と母の言葉を、それなり忘れてしまう事ができなかったのを、今でも情なく感ずるのである。
父と母の間はどれほど円満であったか、僕には分らない。
僕はまだ妻を貰った経験がないから、そう云う事を口にする資格はないかも知れないが、いかな仲の善い夫婦でも、時々は気不味い思をしあうのが人間の常だろうから、彼らだって永く添っているうちには面白くない汚点を双方の胸の裏に見出しつつ、世間も知らず互も口にしない不満を、自分一人苦く味わって我慢した場合もあったのだろうと思う。
だから僕はあの時の父と母の言葉を、それなり忘れてしまう事ができなかったのを、今でも情なく感ずるのである。
父と母の間はどれほど円満であったか、僕には分らない。
僕はまだ妻を貰った経験がないから、そう云う事を口にする資格はないかも知れないが、いかな仲の善い夫婦でも、時々は気不味い思をしあうのが人間の常だろうから、彼らだって永く添っているうちには面白くない汚点を双方の胸の裏に見出しつつ、世間も知らず互も口にしない不満を、自分一人苦く味わって我慢した場合もあったのだろうと思う。