それからの一年ちかく一室に監禁されてゐたのださうな。
ある黄昏、食事のために家人のたちさはぐ隙をみて座敷牢を脱出し、路傍に食を漁りながら十日あまりさまよつたあげく、とある漁村の砂丘の襞に行き倒れた彼の姿が見出されたときは、もはや瀕死の状態だつた。
何物をたべてゐたのであらうか、あるひは病ひの悪臭であらうか、その体臭のなまぐささに、人々は慄然として顔をそむけずにゐられなかつたと伝えられてゐる。
それからの一年ちかく一室に監禁されてゐたのださうな。
ある黄昏、食事のために家人のたちさはぐ隙をみて座敷牢を脱出し、路傍に食を漁りながら十日あまりさまよつたあげく、とある漁村の砂丘の襞に行き倒れた彼の姿が見出されたときは、もはや瀕死の状態だつた。
何物をたべてゐたのであらうか、あるひは病ひの悪臭であらうか、その体臭のなまぐささに、人々は慄然として顔をそむけずにゐられなかつたと伝えられてゐる。