血まみれな、ひとりの男を思ひださずにゐられなかつた。
伝記の主の二人のうち政治家の生家は長岡市からちよつと離れた片田舎にあつた。
その家に泊りこんで伝記の資料を渉猟してゐる一日のことであつたが、土蔵の片隅にもぐりこみ遺品の数々を見てゐるうちに、望遠鏡や、煙草入れや、旅行用の湯呑みや、そのほか雑多なガラクタ類と一緒に、埃まみれの六連発のピストルを見付けた。
血まみれな、ひとりの男を思ひださずにゐられなかつた。
伝記の主の二人のうち政治家の生家は長岡市からちよつと離れた片田舎にあつた。
その家に泊りこんで伝記の資料を渉猟してゐる一日のことであつたが、土蔵の片隅にもぐりこみ遺品の数々を見てゐるうちに、望遠鏡や、煙草入れや、旅行用の湯呑みや、そのほか雑多なガラクタ類と一緒に、埃まみれの六連発のピストルを見付けた。