伝記の主の二人のうち政治家の生家は長岡市からちよつと離れた片田舎にあつた。
その家に泊りこんで伝記の資料を渉猟してゐる一日のことであつたが、土蔵の片隅にもぐりこみ遺品の数々を見てゐるうちに、望遠鏡や、煙草入れや、旅行用の湯呑みや、そのほか雑多なガラクタ類と一緒に、埃まみれの六連発のピストルを見付けた。
明治三十七八年の戦役直後、政治団体を代表して戦地を視察にでかけたとき、必要にせまられて携用したといふ古いものだが、それにしても、挿絵の中にみたやうな銃身の長いピストルほど骨董的なものではなかつた。