夜明けまで消えつぱなしてゐたものか、真夜中ごろには故障が直つて点いたのか覚えがないが、卓一は蝋燭のちらくら揺れる光影の下で、いつも眠つてしまつたのである。
ひよう/\といふ北風の悲鳴が遠い空から泣き狂つてきて、どッと家につきあたる。
屋根の横手で舞ひ狂つて、やがて悲鳴は街を走つて去るのであるが、いはば礼拝堂の中へ籠つて蝋燭のかぼそい光影の下にひれふし、神の御名を唱えながら、礼拝堂の周囲を駈け狂ふ妖怪の喚きや罵りをきいてゐるやうな心細い思ひ出である。
夜明けまで消えつぱなしてゐたものか、真夜中ごろには故障が直つて点いたのか覚えがないが、卓一は蝋燭のちらくら揺れる光影の下で、いつも眠つてしまつたのである。
ひよう/\といふ北風の悲鳴が遠い空から泣き狂つてきて、どッと家につきあたる。
屋根の横手で舞ひ狂つて、やがて悲鳴は街を走つて去るのであるが、いはば礼拝堂の中へ籠つて蝋燭のかぼそい光影の下にひれふし、神の御名を唱えながら、礼拝堂の周囲を駈け狂ふ妖怪の喚きや罵りをきいてゐるやうな心細い思ひ出である。