屋根の横手で舞ひ狂つて、やがて悲鳴は街を走つて去るのであるが、いはば礼拝堂の中へ籠つて蝋燭のかぼそい光影の下にひれふし、神の御名を唱えながら、礼拝堂の周囲を駈け狂ふ妖怪の喚きや罵りをきいてゐるやうな心細い思ひ出である。
今時はさうではないが、子供の頃は風の悲鳴が走るたびに、妖怪を感じて、怖しかつたのだつた。
ちかごろは吹雪の夜でも、めつたに停電することもなくなつてゐる。
屋根の横手で舞ひ狂つて、やがて悲鳴は街を走つて去るのであるが、いはば礼拝堂の中へ籠つて蝋燭のかぼそい光影の下にひれふし、神の御名を唱えながら、礼拝堂の周囲を駈け狂ふ妖怪の喚きや罵りをきいてゐるやうな心細い思ひ出である。
今時はさうではないが、子供の頃は風の悲鳴が走るたびに、妖怪を感じて、怖しかつたのだつた。
ちかごろは吹雪の夜でも、めつたに停電することもなくなつてゐる。