卓一と結婚すると、それがもはや極端に助からないといふ気がした。
せつないまでに愛しきつてゐるからだ。
しひたげられ、踏みつけられても、浮かびあがらうとする浮力がもはや片鱗すらないやうな、家庭の暗がりに蠢めく一匹の虫とか、家庭の上層部には明るい波があるけれども、その下層部には澱んだ不吉な暗闇があつて、自分の姿はその暗闇をまもるところの醜悪にして貪婪な餓鬼の姿にほかならぬやうな苦痛にみちた思ひがした。
卓一と結婚すると、それがもはや極端に助からないといふ気がした。
せつないまでに愛しきつてゐるからだ。
しひたげられ、踏みつけられても、浮かびあがらうとする浮力がもはや片鱗すらないやうな、家庭の暗がりに蠢めく一匹の虫とか、家庭の上層部には明るい波があるけれども、その下層部には澱んだ不吉な暗闇があつて、自分の姿はその暗闇をまもるところの醜悪にして貪婪な餓鬼の姿にほかならぬやうな苦痛にみちた思ひがした。