どこの県にも行はれることであらうが、毎年一回県展といふものが県庁所在地に行はれる。
すると中央の画壇にはなんの関係もなく恐らく野心もない人々の労作が数千点も集まるのである。
東京から人気の高い数名の画家が招かれて審査に当るわけであるが、入選の絵といふものも中等学校の展覧会に年功だけを加へた程度の幼稚なもので、審査よりも変つた土地の遊びの方に興を覚えたに相違ない審査員は、然し年ごとに進歩の跡がみられるとか、特選の絵は中央の画壇へだしても羞かしくない出来栄えであるといふやうな月並なお世辞を残して退散してしまふのだつた。