坂口安吾 『吹雪物語』 そして思ひあがつてゐた。 けれどもひどく憶病だつた。 針一本の反撃が軽く一刺し加えられたばかりでも、彼は突然狂気のやうな悲鳴をあげて飛びあがり、泣きほろめいて呪ひの叫びをあげながら疾走しさうに思はれたほど暗らい怖れを背中に負うてゐるのであつた。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア