考へてみると失はれたすべてのことが一途に癪のたねである。
年と共にさういふ思ひを感じることは頻りであつたが、さりとて一代の蓄財を浪費するは無論のこと、五円の金を浪費するにも、身を切られる思ひがする。
世の中の定規通りの埒を越えず営々として稼ぎに追はれた昔を思ふと、その堅さ惨めさがいとしまれて、浪費の鉾先がまつたく鈍つてしまふのである。
考へてみると失はれたすべてのことが一途に癪のたねである。
年と共にさういふ思ひを感じることは頻りであつたが、さりとて一代の蓄財を浪費するは無論のこと、五円の金を浪費するにも、身を切られる思ひがする。
世の中の定規通りの埒を越えず営々として稼ぎに追はれた昔を思ふと、その堅さ惨めさがいとしまれて、浪費の鉾先がまつたく鈍つてしまふのである。