各人各様の好みであらうが、他巳吉は皿にもられた女王の裸像に、他の如何なる煽情的な姿態よりも、むしろ最も五感に沁みる情慾を感じ、広茫たる想像の世界、聯想の世界の隅々にまで漲りわたつて、生動尽きるところを知らない妖艶な姿態を感じ、そして水々しい食慾を覚えた。
どんなに貪り眺めても決して乾くことのない水々しさを感じさせるのであつた。
あらゆる夾雑物を失つて、単に純粋に男の対象としての要素のみに還元し、その要素に関する限りは、凡そ想ひうる可能の限り欲して想ひあたはぬ姿態のない豊富な泉を思はせる情感の深さであつた。