坂口安吾 『吹雪物語』 他巳吉は断末魔の真剣な苦悶に浮身をやつしてゐる一方に、しつかと握りしめた澄江の掌を、人差指でくすぐることを忘れなかつた。 澄江はもう言葉を発する張合ひもなかつた。 握られた手をふり放して、他巳吉ののたうちを足下に冷然と見下してゐるばかりであつた。 坂口安吾の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア