さういふ辺鄙な部落ではとにかく一人の村医者だけは何を措いても必要だつたが、ありあはせの草根木皮を調合して医者で通つた維新前とは話が違つて、この節都会で年季を入れた免状持ちはこんな部落へきたがらない。
万事が世襲の田舎であるが、村医者の子供が一人前の医者に育つと、村へ戻つてこないのである。
彼の生れた部落でも久しい医者飢饉に悩んでゐた。
さういふ辺鄙な部落ではとにかく一人の村医者だけは何を措いても必要だつたが、ありあはせの草根木皮を調合して医者で通つた維新前とは話が違つて、この節都会で年季を入れた免状持ちはこんな部落へきたがらない。
万事が世襲の田舎であるが、村医者の子供が一人前の医者に育つと、村へ戻つてこないのである。
彼の生れた部落でも久しい医者飢饉に悩んでゐた。