街道筋の古風な商家を見るやうな表構え一面に格子のはまつた二階家で、我々のもつあらゆる医院の概念に没交渉なものであつた。
煤けた格子に朝顔が這ひ凋んだ花をぶらさげてゐる昼下り、屋内の薄暗がりに埃りをかぶつて並んでゐる薬瓶や医療器具を想像しても不吉な感じが漂ふばかりで、溌剌たる治癒の快味や起死回生の新鮮味は微塵も浮んでこないのである。
数年前のことであるが、この村の小学校の校長の若干の縁に連る者だといふ若い医者がやつてきた。
街道筋の古風な商家を見るやうな表構え一面に格子のはまつた二階家で、我々のもつあらゆる医院の概念に没交渉なものであつた。
煤けた格子に朝顔が這ひ凋んだ花をぶらさげてゐる昼下り、屋内の薄暗がりに埃りをかぶつて並んでゐる薬瓶や医療器具を想像しても不吉な感じが漂ふばかりで、溌剌たる治癒の快味や起死回生の新鮮味は微塵も浮んでこないのである。
数年前のことであるが、この村の小学校の校長の若干の縁に連る者だといふ若い医者がやつてきた。