東京へ戻るとさしづめ生活に困るだらうといふやうな常識的な打算によつてつまづく彼の意志ではなかつた。
ぎりぎりの所へくれば盗賊も殺人もできるぢやないか――それがその場の感情ではなく、いつも冷めたく考へてゐる心によつて烙印された彼の生涯の合鍵なのだ。
そしてもはや最高の理論によつて彼を攻めても、彼の意向を捩ぢまげるには全く無力の思ひがする。
東京へ戻るとさしづめ生活に困るだらうといふやうな常識的な打算によつてつまづく彼の意志ではなかつた。
ぎりぎりの所へくれば盗賊も殺人もできるぢやないか――それがその場の感情ではなく、いつも冷めたく考へてゐる心によつて烙印された彼の生涯の合鍵なのだ。
そしてもはや最高の理論によつて彼を攻めても、彼の意向を捩ぢまげるには全く無力の思ひがする。