土佐犬は小犬を虐めぬものであるが、左様な鈍重な風格は野々宮と対蹠的なものだつた。
彼はいつたん儀礼の世界を踏み外すとむしろ意識的に弱者の弱味につけこむことを娯しむやうな、且つそのことのあくどさを気付かぬやうな嗜虐癖を蔵してゐた。
左門は屡々とりつく島のない思ひを味ふことがあつたのである。
土佐犬は小犬を虐めぬものであるが、左様な鈍重な風格は野々宮と対蹠的なものだつた。
彼はいつたん儀礼の世界を踏み外すとむしろ意識的に弱者の弱味につけこむことを娯しむやうな、且つそのことのあくどさを気付かぬやうな嗜虐癖を蔵してゐた。
左門は屡々とりつく島のない思ひを味ふことがあつたのである。