彼はいつたん儀礼の世界を踏み外すとむしろ意識的に弱者の弱味につけこむことを娯しむやうな、且つそのことのあくどさを気付かぬやうな嗜虐癖を蔵してゐた。
左門は屡々とりつく島のない思ひを味ふことがあつたのである。
然しそれも野々宮の嗜虐癖のせゐばかりとは言へなかつた。
彼はいつたん儀礼の世界を踏み外すとむしろ意識的に弱者の弱味につけこむことを娯しむやうな、且つそのことのあくどさを気付かぬやうな嗜虐癖を蔵してゐた。
左門は屡々とりつく島のない思ひを味ふことがあつたのである。
然しそれも野々宮の嗜虐癖のせゐばかりとは言へなかつた。